高卒認定試験を受けたいけれど、「特性や体調のことがあって不安」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
知らない人がたくさんいる教室で自分の力が出せるかな……。
途中で体調が悪くなったらどうしよう……。
不安な気持ちになってしまいますよね。
わが家の長男・あさりが高卒認定試験を受けると言い出したときは、私も心配になりました。
そして、「合理的配慮って受けられるのかな?」と思ったのです。
結論から言うと、合理的配慮は受けられます。
高卒認定試験では、合理的配慮を特別措置として設けています。
あさりは特別措置を受けたことで、「全然不安じゃなかった。落ち着いてできた~」と、笑顔で試験を乗り越えることができました!
今回は、高卒認定試験の特別措置(合理的配慮)について、わが家が体験した申請から試験当日までを詳しくご紹介します。
わが家の経験がお役に立てれば嬉しいです。
目次
高卒認定試験における特別措置(合理的配慮)とは?
高卒認定試験では特別措置が設けられており、障害の程度に応じて様式や実施方法の変更といった配慮を受けることができます。
これにより、障害による困難を抱える方が、他の方と公平な受験環境で試験に臨むことができます。
対象となる病状と対応する特別措置
視覚障害
- 点字による出題・解答 <時間1.5倍(別室)>
- 文字による解答 <時間1.3倍(別室)>
- 文字による解答 <時間延長なし(別室)>
- 拡大文字問題冊子の配布 (14ポイント、A3版)
- 拡大鏡等の持参使用
- 窓側の明るい座席を指定
- 照明器具の持参使用
- 点字器等の持参使用
- その他
聴覚障害
- 注意事項等の文書による伝達
- 座席を前列に指定
- 補聴器の持参使用(FM式を除く)
- その他
肢体不自由
- チェックによる解答 <時間1.3倍(別室)>
- チェックによる解答 <時間延長なし(別室)>
- 別室の設定 <2人以上10人以下の試験室>
- 試験室を1階に設定
- トイレに近接する試験室に指定
- 特性机の持参使用
- 車いすの持参使用
- 杖の持参使用
- 試験室入り口までの付添者の同伴
- 駐車場への乗用車での入構
- その他
病 弱
- 別室の設定 <2人以上10人以下の試験室>
- 試験室を1階に設定
- トイレに近接する試験室に指定
- 特性机の持参使用
- 車いすの持参使用
- 杖の持参使用
- 試験室入り口までの付添者の同伴
- 駐車場への乗用車での入構
- その他
その他(精神疾患を含む)
- 別室の設定 <2人以上10人以下の試験室>
- 試験室を1階に設定
- トイレに近接する試験室に指定
- 試験室入り口までの付添者の同伴
- 駐車場への乗用車での入構
- その他
発達障害はその他(精神疾患を含む)に含まれます。
必要書類をそろえる
必要な書類
- 高等学校卒業程度認定試験身体障害者等受験特別措置申請書
- 医師の診断・意見書(発行から半年以内のもの)
上記の必要書類を、出願書類と合わせて提出する必要があります。
身体上の障害等により、受験の際に特別措置を希望する方は、通常の出願書類にあわせて、「高等学校卒業程度認定試験身体障害者等受験特別措置申請書」及び「医師の診断・意見書」の提出が必要となります。提出された書類を基に、文部科学省で審査を行い、特別措置を決定します。
引用 文部科学省/高等学校卒業程度認定試験/身体上の障害等にかかる特別措置
視覚障害、肢体不自由、病弱・その他の方は、受験案内にある「診断書・意見書」(それぞれ様式が異なります)をコピーし、医師に記入してもらいます。
聴覚障害の方の診断書は任意の様式で構いません。
点字による解答を希望する場合は、「診断書・意見書」の代わりに「身体障害者手帳の写し」も可。
診断書が出来るまで1ヶ月ほどかかることもありますので早めに準備しましょう。
2024年(令和6年度)の日程はこちらの記事で紹介しています
身体障害者等受験特別措置申請書はどう書く?
あさりは慣れない環境に弱く大きな不安を感じやすいことから、体が固まる、頭が真っ白になる、指示が入りにくくなる、腹痛、下痢、頭痛……等々、困った症状が出てしまいます。
高校受験の際には受験までの約3ヶ月間、ほぼ毎日腹痛と下痢に悩まされ、正直受験勉強どころではありませんでした。
過敏性腸症候群になっちゃったんだよね。
(試験中にお腹が痛くなったら……。大丈夫かな……。)
中学では特別な配慮を受けていなかったため高校受験での配慮など思いつきもせず、ただただ不安な毎日でした。
あの時のような思いは絶対にさせたくない。
どんな配慮を受けたら安心して受験できるのか。
あさりと話し合い、高卒認定試験では4点の特別措置をお願いすることにしました。
【症状及び学校等の授業での状況等を詳しく記入】の欄には下記の5点を入れて記入
- 社会的場面において不安や緊張が強く生じやすく、その際に腹痛等の体調面の変化が生じやすいこと。
- 耳からの情報認知が弱く、緊張する場面では指示等を聞き逃しやすくなり不安症状が強まること。
- テストの際にはトイレに近い教室で別室受験を行っていたこと。
- 不安感・感覚の過敏さによる光への弱さのため後方・廊下側の席にお願いしていたこと。
- 説明事項・指示の板書、またはプリントでの伝達をお願いしていたこと。
【受験に際して希望する措置】
ご自身が該当する希望措置を選びます。
あさりは肢体不自由・病弱・その他(1)の中から2つ選択しました。
- 別室の設定(2人以上10人以下の試験室)
- トイレに近接する試験室に指定
【上記以外の希望措置】
特別措置申請書に記載された措置以外で希望する措置があれば記入します。
- 後方・廊下側の座席を指定
- 説明事項・指示等の文書による伝達
ひとつ心配だったのが、医師に作成していただいた診断書でした。
内容がどうというよりも……。
???
暗号……?
どんなことが書いてあるのか分かっているわたし達でさえ戸惑う乱雑な文字でした。
これを、文部科学省の人たちは読めるのか……? 読めないから不可、とはならないよね? と一抹の不安を抱えつつ……。
希望する措置が認められるといいねと話しながら決定通知を待ちました。
願書提出から特別措置の決定まで
特別措置の決定通知と受験票が届くのを待ちわびていた10月のある日。
その日は用事があり、あさりと外出していました。夕方帰宅すると次男・いくらが電話があったことを教えてくれました。
たぶん、あさりの試験のやつ? から電話きたよ。また後で電話するって。
なんと文部科学省から電話が! 通知書じゃなくてなぜ電話⁉
と驚いたのと同時に、大まかにとはいえ、いくらが電話の内容を聞き取れていたことにも更にびっくり!
あさりもいくらも聴覚情報処理障害(APD)の傾向があり、聞き取りが苦手なのです。
そのこともあり、希望措置として「説明事項・指示等の文書による伝達」をお願いしていました。
ドキドキしながら電話を待っていると、18:00過ぎに文部科学省の高卒認定試験担当の方から電話をいただきました。
内容は、申請した希望措置の1つ「後方・廊下側の座席を指定」について確認したいとのことでした。
あさりは以下の理由から後方・廊下側の座席を希望していました。
- 自分の後ろに人がいると緊張して集中できないため後方の席を希望。
- 窓際は眩しいこと、また、トイレに行きたくなった場合にスムーズに教室から出られるよう廊下側の座席を希望。
しかし、会場となる教室の扉は1箇所のみで、前方にしかないとのこと。
そのため、前方の扉近くの席か、扉からは遠いが後方の席か、どちらの方が良いか?と確認の連絡をくださったのでした。
その場で担当の方に少しだけお待ちいただき、あさりにどちらが良いか確認したところ、「後ろに人がいると緊張しちゃうから1番後ろの席!」と言うので、そのようにお伝えしました。
最後に、特別措置の決定通知書は受験票とは別に届くので受験日には忘れずに一緒に持ってくるように、と教えていただき電話を切りました。
とても丁寧な対応をしていただき感謝です!
電話の翌日には受験票が届き、さらにその1週間後、特別措置の決定通知書が届きました。
結果は、希望した4点の希望措置すべてが認められ、一安心でした(診断書が読めないレベルでも大丈夫でした!)。
さらに決定通知書には、試験室に飲料を持ち込む場合、ペットボトルであればラベルをはがしたもの、水筒等であれば無地のものに限り許可する旨の記載がありました。
会場の都合や診断書の内容によっては特別措置の希望が通らないことがあります。
試験日は試験室まで同伴
試験当日の1日目は、試験室まで付き添いました。
受付が見当たらなかったため、入り口近くにあった救護室に声をかけると、中には数名の試験官? がいらっしゃいました。
特別措置を受けて受験することを伝えると、入り口からすぐの試験室に案内してくださいました。
試験室の隣にトイレがあり、廊下を挟んだ試験室の向かい側には控室がありました。
え、こんなに近いの? と驚くくらい、すべてがまとまっていました(笑)。
文部科学省の方からお電話をいただいた際、入り口からは遠くなるけれど1番後ろの席をお願いしたのですが、
ひとりしかいないから好きな席でいいよ。
と言ってくださったので、廊下側の、扉に近い前の席にしていただきました。
別室どころか個室でした。
試験終了後、あさりにずっと1人だったのか聞いてみると、2日間通して2時間だけ2人受験の時があったとか。
控室はずっとひとりだったから、スマホみたりしてのんびり過ごせたよ。
田舎のため受検者が少なかったこともありますが、希望以上の配慮をいただくことができ、あさりは安心して高卒認定試験を受験できたのでした。
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- 高卒認定試験では特別措置(合理的配慮)を受けることができる。
- 特別措置を受けるには「高等学校卒業程度認定試験身体障害者等受験特別措置申請書」と「医師の診断・意見書」が必要。
特性や体調のために高卒認定試験に不安を感じている方は、高卒認定試験で特別措置を受けたい旨を医師に相談してみてください。
安心して高卒認定試験にチャレンジできることを願っています。
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